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賃金アップを目指す
従前より看護師や歯科衛生士などの有資格者の人材確保は深刻な問題でしたが、近頃は事務職においても採用が厳しい状況となってきています。労働者人口の減少や最低賃金の引上げによって賃金も上昇しており、医療機関を取り巻く労働市場は大きく変ってきています。
病院のような大きな規模の組織では、看護師として入職後し、ある程度の勤続年数を経ると、主任などの役職に付き、看護師長、看護部長へとキャリアアップし、昇進・昇給していきます。最終的に定年退職すると、次の者が役職を引き継ぎ、新しいスタッフが初任給で入職して入れ替っていく、というように採用から退職まで一定のサイクルが出来ています。その結果、病院全体の人件費を維持することが可能となっています。つまり、人件費総額を維持しながら昇給していくことができるわけです。
残念ながら診療所の職員数は、多くても10名程です。看護職や事務職などに職種ごとに区分するとさらに少なくなります。病院のように職員を入れ替えることは難しく、職員の昇給はそのまま人件費の上昇に直結することになってしまいます。
一般的に診療所の収益は、開業後5年から10年程でピークを迎えると言われています。その後は競合する医院の新設や診療報酬削減の政策が重なり、診療所の収入は年々少しずつ減ることになります。その結果、職員を昇給し続けることは困難となるのです。
なにかと話題のマイナンバーカードですが、受付の読取り機にかざすと初診患者さんの情報が電子カルテに自動的に反映されて、事務負担が減ったというお話も聞きます。さらには、事前にクレジットカードを登録するとお会計をせずに帰宅することができ、電子処方箋で薬局から自宅に薬が郵送される話が現実となっています。
このように、毎年昇給するためにはITを活用して診療所の生産性を向上させる環境を整えていくことが求められています。
【文責:西澤 和弘/プロフィールはこちら】