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国民皆歯科健診
本年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針2022)」に「国民皆歯科健診」を具体的に検討することが明記されました。今後、3~5年かけて制度の枠組み作りを進められるとみられています。
そこで今回は「国民皆歯科健診」についてご紹介します。
65歳以上の高齢者であっても、自身の歯を多く残し、よく噛めている人ほど生活の質や活動能力が高く健康も維持しやすいこと、また、歯周病が動脈硬化、心臓病や脳卒中等の病気と関係があることも分かってきました。しかし現在、歯科健診は高校生までの学校健診等では義務付けられていますが、大学生や社会人には義務付けられていません。そのため、生涯を通じてすべての世代に歯科健診を義務付ける必要があると考えられた訳です。
この制度によって歯科健診が義務付けられますが、当初は努力目標のようなものになることが想定されていますので、罰則等のペナルティは設けられないようです。
具体的には、大学生や社会人が受診する定期健康診断の項目に歯科健診が追加されることになるようです。
また制度導入に併せて、歯科業界の永年の課題である「歯科衛生士や歯科技工士等の人材確保」、「歯科専門職による口腔健康管理の充実」や「歯科領域におけるICTの活用」を進める方針も盛りこまれており、制度推進に向かう政府の本気度がうかがわれます。
この制度の進捗により、歯科を標榜する病院の増加や歯科と医科の連携の強化が進むなど色々な変化が考えられます。
【文責:神代弘樹/プロフィールはこちら】