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ベースアップ評価料の今後
令和6年度の診療報酬改定で話題となった「ベースアップ評価料」ですが、届出済の医療機関は病院で8割程度、診療所で2割程に留まっています。当初は評価料に対する患者さんの理解を得ることができるかの不安や届出様式が煩雑なこと等から届出する医療機関が少なくなったものと推察できます。
診療所の届出割合が低いことから、日本医師会が厚生労働省との調整を行ってきた結果、届出様式の大幅な簡素化が図られています。さらに、届出済医療機関と3月31日時点で届出予定の医療機関のみに対応した給付金(無床診療所で1施設当たり18万円)も決まり、届出を強力に後押ししています。
医療機関に先行して介護事業では同様の制度が2009年に「処遇改善交付金」という補助金として始まっています。その後「処遇改善加算」となり、介護報酬の一部として現在に至っています。いまでは改善加算の報酬金額に占める割合は大きくなり、改善加算なしでは介護事業が成り立たない状況になっています。
特に職員数が多い病院では評価料の金額が大きくなっていることから、次回の報酬改定での廃止は経営に大きな影響を与えることになってしまいます。また、導入から15年経過している介護事業の状況を踏まえると、存続する可能性が高いのではないかと予測できます。
最低賃金の上昇や人手不足など人件費負担増が進んでいるのにもかかわらず基本診療報酬のアップが見込めない状況では、「ベースアップ評価料」の算定が必須になるかもしれません。
【文責:西澤和弘/プロフィールはこちら】