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複数医療機関による訪問診療
本年11月の中央社会保険医療協議会で「訪問診療」について課題と論点が整理されました。
一人の患者に対して医療機関が「在宅訪問診療料」を算定している場合、他の医療機関が訪問診療を行ったとしても、前記の診療料を算定することができないこととなっています。
例えそれが異なる診療科の医療機関であっても診療料が算定不可となっているため、複数の疾病を抱えている患者に対する訪問診療を実施する上で大きな弊害となっていました。
また、富山県が平成24年に実施した調査によると、訪問診療を実施できない主な理由は以下のとおりで、一人の医師だけでの対応は限界があることが浮き彫りになっています。
・実施するためのスタッフがいない
・在宅診療を行う時間的な余裕がない
・夜間の対応等、身体的な負担が大きい
・昼夜を問わず対応が求められ、精神的な負担が大きい
・休日も対応を求められ、プライベートの予定が立てられない
この様な状況に対応するため、同県医師会では在宅支援センターを設置し、在宅診療を開始する医師の参入促進、人材の確保・育成、相談や情報提供等の支援事業を実施しています。
中医協は、このような在宅医療ネットワークの構築事例や、在宅医師によるグループ診療の取組みを参考に「複数の医療機関が同時に訪問診療を実施すること」や「地域医師会等の協力により複数の医療機関が連携した医療体制を構築し、在宅診療を提供すること」について診療報酬上の評価を設けることを提言しています。
(参照:中央社会保険医療協議会総会 第369回 議事次第)
【文責 西澤和弘】